Kitaland

10代で札幌に移住して気づいたら30代半ばになっていました

知床でヒグマによる遭遇事故が発生していないのは実は奇跡に近かったー観光客として僕は大反省したー

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こんにちは、kitalanです。JALのマイルを貯めるようになってから、北海道旅行が中心だったんですが道外にも進出するようになってきています。でもやっぱり北海道旅行は自然もあって食べ物もおいしくて最高ですね。

マイルマイル言っている割りには神妙な顔つきしてますな。軽薄さが売りのくせに。

先日知床旅行に行ってきたんですが、えらく考えこんでしまって。

あまりいい旅行じゃなかったのか。

いえ、ものすごくよい旅行でした。鹿にも出会えたし、食べ物はおいしいし、時間さえあれば何度でも行きたいと感じましたよ。

じゃあどうして。

僕自身の、旅行に関する考え方を再考するきっかけになったからです。知床旅行にも書かれていないルールがあったんだなぁって。

えらく真面目じゃのー。

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知床旅行で、自然と観光との共生について本気で考えた

知床旅行には明記されないルール。それはずばり、環境との共生です。旅行を愛する者の永遠のテーマかもしれません。

知床では人慣れしたヒグマが増えつつある

札幌から約6時間。距離にすると6時間を超える大移動をしてきました。目的は知床五湖へ行って、あわよくばその途中で、鹿やヒグマに遭遇すること。過去数回知床に行っていますが、鹿やキツネに出会えたことはあったものの、大本命のヒグマに出会えたことはありません。自然の中を闊歩するヒグマに会ってみたいなぁ。久しぶりに一眼カメラをメンテナンスして、サブのコンデジも用意して、ウキウキ気分で旅行の準備を整えました。ちょっとしたアマチュアカメラマン気取りです。

思えばこの考え方が、根本的に間違っていました。

知床五湖に到着!この日はヒグマが2頭出現していた

とりあえず網走で一泊し、知床五湖を目指して出かけてきました。道中、ヒグマはおろか、鹿にすら会うことはありませんでした。最近の知床は変わってしまったのかな?そんなことを思いながら知床五湖へと車を走らせます。

知床五湖へ到着しました。知床五湖は、有料×色々とレクチャーを受け、1湖から5湖を順繰りに回る地上遊歩道コースと、無料かつレクチャーを受けなくても安全に楽しめる高架木道コース、との二つから選択することができます。色々とレクチャーを受けなければいけないのは時間の関係上厳しかったので、地上遊歩道コースはパス。以前行ったこともあったのでまぁ必要ないかと。

いざ、大自然の中へ、場所を借りるつもりで繰り出します!この時の僕は本当にそう思っていたのか・・・。

霧が立ち込める、荘厳な雰囲気

以前訪れた時とはうって変わって、この日の知床五湖は霧が立ち込めており、周囲があまり見えない状態でした。うっそうとしています。奥へ行くに連れてどんどん霧が深くなります。まるで神々の土地に間借りをしている気分になりました。

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どんどん霧が立ち込めてきて、ほとんど何も見えなくなってしまいました。

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ここまで来ると、神秘的を通り越して少し不気味な感じさえしてきました。急に体がどっと疲れてきて、思うように足が進みません。高山病のような症状です。ちなみに快晴の場合はこんな写真です。

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結局、高架木道の折り返し地点まで行って、駐車場まで戻ってきました。すると不思議なことに、元の快晴に戻りました。何だったろう、あの不思議な雰囲気は。

管理の方に、五湖でのヒグマ遭遇率について聞いてみた

後から分かったことですが、この僕がいた時間からおよそ30分後くらい、知床五湖でのヒグマ目撃情報があったそうです。すごく悔しい!!←この考え方も馬鹿丸出しでした・・・。

五湖からの帰り道、インフォメーションセンターにて、ヒグマ遭遇率について係の人に聞いてみました。回答をまとめると、

  • 国立公園内では、いつどこでヒグマが出てもおかしくない状況
  • 駐車場に出てしまったこともあるし、遊歩道入口に出たこともある
  • 特に観光客の方は、「熊の生息圏内に侵入している」という意識が必要
  • 餌やりや写真撮影は絶対に避けてほしい

こんな趣旨の話でした。餌やりは分かるけど、なぜ写真撮影もダメなのだろう。この方と話をしたのをきっかけに、知床財団のホームページで色々と勉強しました。もう、大反省です。

人のヒグマ慣れがヒグマの命を奪う

知床には知床財団という組織があります。知床の自然のこと、人との共生(うわべではない)のことをしっかり考えて取り組んでいる組織です。その組織が、人間の熊慣れに警鐘を鳴らしています。

知床ではヒグマの人馴れ(Bear-to-human habituation)が進んでいると同時に、人のヒグマ慣れ(Human-to-bear habituation)も問題になりつつあります。親から独立したての若いヒグマや親子グマに対して、不用意に至近距離まで接近するアマチュアカメラマンや一般観光客(時に地元住民も)が増えているのです。

 人馴れしたヒグマは人間の接近を許容する傾向にありますが、人が出会うすべての個体がそうであるとは限りません。また、許容する距離にも限度があります。

 野生のヒグマはヌイグルミではありません。小さく見える1~2歳の若グマでも体重は通常30~60 kg以上あり、犬歯や爪といった強力な武器を持っています。動物の攻撃能力を甘く考えてはいけないと思います。

 少し違う例で例えると、飼い主のいない見知らぬ大型犬がノーリード(つながれていない)状態で近くにいたとして、あなたはその犬に不用意に近づくでしょうか?

http://www.shiretoko.or.jp/higuma/higuma4.html

本当に書いてある通りで、本当の遭遇を前提にしていなかった自分は、恥ずかしくなりました。知床には、場所を間借りしに行く、という意識が圧倒的に欠如していました。

2014年の初夏には、知床五湖の近くに0歳の子グマを3頭連れた母グマが頻繁に現われました。この母グマは非常に攻撃的な性格で、人を見るとすぐに威嚇突進(ブラフチャージ)をしてきました。現場に到着するたび、私たちも繰り返し突進を受けましたが、案の定、車から降りた一般観光客が威嚇突進されたケースも起きていたようです。

http://www.shiretoko.or.jp/higuma/higuma4.html

ここでパニックになって転んでしまったり、慌てて背を向けてしまったらもう本当に危ない状態になるわけですね・・・。

人間と近い距離で出会っても、ただ写真を撮られるだけで何も怖い思いをしなかった・・・というような状況を何度も経験したヒグマは、次第に人間の存在を恐れなくなり、昼間から平気で人前に出てくるようになります。このような現象を、私たちはヒグマの「人馴れ」(human habituation)と呼んでいます。

http://www.shiretoko.or.jp/higuma/higuma4.html

「人間と出会っても、何も怖い思いをしなかった。」この感覚をヒグマに与えること自体がもう駄目だったのですね。この後を読むと分かりますが、人慣れの段階が進んだ熊が国立公園外に出没してしまった場合は基本的に捕獲(命を奪う)の対象になってしまうようです。そういえば昔、「これ以上入ってくるな」と、財団の方が泣きながらヒグマと対峙していた話を聞いたことがあります。

もう、、大反省です。安易に熊に会いたい、写真を撮ってみたい、と思って本当に申し訳なかった!

それでもヒグマに出会ってみたい場合はどうすればよい?

これは一つの提案ですが、本当にヒグマに出会ってみたかったら、きちんとお金を払い、クルーザー等のツアーの参加するべきではないでしょうか。そして望遠レンズを使って撮影をする。この辺が限界なのではないでしょうか。僕の軽い好奇心では、命がけ、批判を覚悟してヒグマを撮影する、といった行為には出られません。

まとめー観光を楽しむということー

今回、何となく知床を訪問し、めちゃくちゃ楽しみましたが、その後にどっと疲れが押し寄せ、色々と調べました。思ったことは、我々旅行客は、その対象が人や自然かどうかは問題でなく、その土地に入れてもらっている、間借りしている、こういう感覚を失ってはいけないということを感じました。肝に銘じておきます。

最後に

1986年以来続いている知床のヒグマ無事故記録(人間の負傷・死亡事故に限る)ですが、人間側の無思慮な行動によって、近い将来に終わる予感がしてなりません。

http://www.shiretoko.or.jp/higuma/higuma4.html

知床財団の方の嫌な予感が的中しませんように。しかもその原因が、観光客の側にあるような事態には絶対になりませんように。

【参考サイト】

解説2:なぜ国立公園内(世界遺産地域内)でヒグマの追い払いが必要なのか?(ヒグマに対する私たちの考え方と取り組み)|公益財団法人 知床財団

 

僕はこんな記事も書いています

www.kitalannotabihurotravel.com